糖尿病で頻尿になるのはなぜ?多尿との関係や受診の目安を解説

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糖尿病で頻尿になるのはなぜ?多...

「トイレが近くなった」「夜中に何度も目が覚める」「水を飲んでも喉が渇く」と不安になっていませんか。糖尿病では、血糖値が高い状態が続くと尿中へブドウ糖が排出され、水分も一緒に引き込まれるため、尿量が増えて排尿回数が多くなることがあります。ただし、回数が増える頻尿と、1日の尿量そのものが増える多尿は同じではありません。

頻尿は、過活動膀胱、前立腺肥大症、膀胱炎、水分やカフェインの摂取、薬剤などでも起こります。喉の渇き、多飲、体重減少、強いだるさなどを伴う場合は、血糖値を調べることが大切です。自己判断で水分を極端に減らすと、脱水につながるおそれがあります。

この記事では、糖尿病で頻尿になる仕組み、多尿との違い、糖尿病以外の原因、検査、対処法と受診の目安を解説します。頻尿が糖尿病によるものか気になっている方は、受診先や今後の対応を考える際の参考にしてください。

糖尿病と頻尿・多尿の関係

糖尿病でトイレが近くなる背景には、尿量そのものが増える場合と、膀胱に尿が残って1回にためられる量が少なくなる場合があります。同じ「頻尿」でも起こる仕組みが異なるため、排尿回数だけでなく、1回量や排尿後の感覚も重要です。まずは頻尿と多尿の違いを押さえたうえで、糖尿病との関係を見ていきましょう。

頻尿と多尿の違い

頻尿は、排尿する回数が以前より増えた状態です。一般に日中8回以上が一つの目安とされ、夜間に排尿のため1回以上起きる状態は夜間頻尿と呼ばれます。ただし、水分摂取量や年齢、生活環境によって適切な回数は変わります。単純な回数だけでなく、仕事や外出、睡眠に支障が出ているかも確認しましょう。

多尿は、1日の尿量そのものが増えた状態で、成人ではおおむね3Lを超える場合が目安です。頻尿でも1回量が少なければ、1日の尿量は増えていないことがあります。反対に、多尿では1回量が保たれたまま排尿回数も増える傾向があります。

状態

主な変化

見分ける手がかり

頻尿

排尿回数が増える

一回量が少ない場合もある

多尿

1日の尿量が増える

成人では1日3L超が一つの目安

高血糖による浸透圧利尿

血糖値が高くなると、腎臓で回収しきれなかったブドウ糖が尿中へ排出されます。尿中のブドウ糖が水分を引き込むことで尿量が増える現象が、浸透圧利尿です。その結果、1回の尿量や1日の尿量が増え、昼間だけでなく夜間もトイレへ行く回数が多くなることがあります。

尿として水分が失われると、喉の渇きや多飲を伴うことがあります。ただし、血糖値が高くても症状が目立たない方はいるため、頻尿がないから糖尿病ではないとは判断できません。

糖尿病性神経障害による残尿

長期間にわたって高血糖が続くと、膀胱の感覚や収縮を調整する自律神経が障害されることがあります。尿がたまっている感覚が弱くなったり、膀胱が十分に収縮できなくなったりすると、排尿後も膀胱内に尿が残る残尿が生じます。このように神経の障害によって膀胱や尿道の働きが乱れた状態は、神経因性膀胱と呼ばれます。

残尿が増えると、次にためられる尿量が少なくなるため、1回量の少ない頻尿につながる場合があります。尿の勢いが弱い、排尿に時間がかかる、残尿感があるといった症状も手がかりです。さらに進むと、尿意を感じにくくなって尿が出せなくなったり、膀胱にたまった尿があふれる形で漏れたりすることもあるとされています。高血糖による多尿とは仕組みが異なり、泌尿器科での評価が必要になることがあります。

糖尿病が疑われる頻尿の併発症状

糖尿病による高血糖では、頻尿以外にも、口の渇きや体重減少、疲れやすさなどが現れることがあります。ただし、2型糖尿病は自覚症状がないまま進むケースも少なくありません。頻尿と一緒に起きている体調の変化へ目を向け、症状だけで糖尿病の有無を判断しないことが大切です。

喉の渇き・多飲

高血糖による多尿が続くと、身体から多くの水分が失われ、口の中が乾く、いつもより強く喉が渇くといった症状が現れます。水やお茶を何度も飲む、夜中に水分を取るために起きるなど、飲水量が以前より増えている場合は注意が必要です。

通常時に甘い清涼飲料水やスポーツ飲料を多く飲むと、糖分の摂取によって血糖値がさらに上がることがあります。喉が渇くときは水など糖分を含まない飲み物を中心とし、強い口渇と多尿が続く場合は血糖値を調べましょう。

体重減少・強い倦怠感

インスリンが不足したり十分に働かなかったりすると、血液中にブドウ糖があっても細胞がエネルギーとして利用しにくくなります。身体が脂肪や筋肉を分解してエネルギーを補うため、食事量を減らしていないのに体重が落ちることがあります。

食事量を変えていないのに体重が減り続ける場合は、糖尿病に限らず病気が隠れている可能性があります。目安として、1か月で2〜3kg以上、または6〜12か月で体重の5%以上が意図せず減ったときは、早めに医療機関へ相談しましょう。体格や減少の速さによっては、これより少ない変化でも受診が必要です。

糖尿病以外で頻尿になる原因

頻尿があるからといって、原因が糖尿病とは限りません。膀胱に尿をためにくい状態、尿を出しきれない状態、尿路の炎症、飲み物や薬の影響などでも排尿回数は増えます。原因によって検査や治療が異なるため、尿意の強さ、1回量、痛み、夜間の回数などを振り返ってみましょう。

過活動膀胱・前立腺肥大症

過活動膀胱では、膀胱に十分な尿がたまる前に突然強い尿意が起こり、何度もトイレへ行くようになります。尿意を我慢しにくい、トイレまで間に合わず漏れるといった症状を伴うこともあり、1回の尿量は少ない傾向があります。

男性では、前立腺肥大症によって尿道が圧迫されると、尿の勢いが弱くなり、膀胱に尿が残ることがあります。残尿によって頻尿や夜間頻尿が起こる場合があるため、尿が出にくい、排尿に時間がかかる、残尿感がある方は泌尿器科へ相談しましょう。

膀胱炎・尿路感染症

膀胱炎などの尿路感染症では、膀胱の粘膜が刺激されるため、尿が十分にたまっていなくても尿意を感じやすくなります。頻尿に加えて、排尿時の痛み、残尿感、尿の濁り、血尿などがみられることがあります。

糖尿病がある方では、合併する感染症の中でも尿路感染症の頻度が高いとされています。尿に糖が多く含まれることで細菌が増えやすくなることに加え、神経障害によって膀胱に尿が残ると、感染を起こしやすくなると考えられています。感染を繰り返す場合は、血糖の状態や残尿の有無もあわせて確認することが大切です。

発熱、悪寒、腰や背中の痛み、吐き気を伴う場合は、腎盂腎炎など上部尿路の感染も考えられます。糖尿病がある方は感染症が重くなることがあるため、症状を我慢せず早めに受診してください。抗菌薬が必要かどうかは、尿検査などを踏まえて医師が判断します。

水分・カフェイン・薬剤

水分を多量に取れば、病気がなくても尿量と排尿回数は増えます。コーヒー、緑茶、エナジードリンクなどに含まれるカフェインや、アルコールも尿量や尿意に影響することがあります。とくに就寝前の摂取は、夜間の排尿回数を増やす一因です。

利尿薬は体内の余分な水分を尿として排出する薬で、服用後に尿量が増えます。糖尿病治療薬のSGLT2阻害薬も、尿中へブドウ糖を排出する作用に伴って尿量や排尿回数が増えることがあります。薬の影響が疑われても、平常時に自己判断で中止しないでください。

夜間多尿を招く心不全・睡眠時無呼吸症候群

心不全などで日中に脚へ水分がたまると、横になった際に水分が血管内へ戻り、夜間の尿量が増えることがあります。脚のむくみ、息切れ、短期間での体重増加などを伴う場合は、循環器の病気が隠れていないか確認が必要です。

睡眠時無呼吸症候群でも、睡眠中の呼吸停止に伴う体内の変化や、眠りが何度も中断されることによって夜間頻尿が起こる場合があります。大きないびき、睡眠中の無呼吸、起床時の頭痛、日中の強い眠気がある方は、内科や睡眠外来へ相談しましょう。

頻尿の原因を調べる検査

頻尿の検査では、糖尿病の有無だけでなく、感染症、腎機能、1日の尿量、排尿後の残尿などを確認します。すべての検査を一度に行うわけではなく、症状や持病、服用薬に合わせて選びます。受診時には健診結果やお薬手帳を持参すると、原因を考える助けになります。

血糖値・HbA1c・腎機能

血糖値は採血時点の血糖状態、HbA1cは過去1〜2か月程度の平均的な血糖状態を反映します。糖尿病型の基準は、空腹時血糖値126 mg/dL以上、随時血糖値200 mg/dL以上、HbA1c 6.5%以上などです。

HbA1cだけが基準を超えた場合は、血糖検査による確認が必要です。一方、同じ採血で血糖値とHbA1cがともに糖尿病型を示した場合などは、1回の検査で診断できることがあります。血液検査ではクレアチニンやeGFRも確認し、症状や過去の結果を含めて医師が総合的に判断します。

尿糖・尿ケトン・感染所見

尿検査では、尿糖、尿ケトン、尿蛋白、尿潜血、白血球などを調べます。尿糖は血糖値が高いと陽性になることがありますが、服用薬や腎臓での糖の再吸収にも影響されるため、尿糖だけで糖尿病の有無は判断できません。

尿ケトンは、インスリン不足などによって脂肪の分解が進み、ケトン体が増えていないかを調べる手がかりです。白血球や細菌が確認された場合は、尿路感染症を疑って尿培養を行うことがあります。蛋白尿がある場合は、糖尿病性腎症などの評価も必要です。

排尿日誌・残尿測定

排尿日誌には、排尿した時刻、1回の尿量、水分を取った時刻と量、尿意や尿漏れなどを数日間記録します。回数だけでなく尿量がわかるため、多尿、夜間多尿、膀胱容量の低下などを考えるうえで役立ちます。

残尿測定では、排尿直後に超音波検査などを用いて膀胱内に残った尿量を確認します。残尿が多い場合は、糖尿病性神経障害、前立腺肥大症、尿道の狭窄などを検討します。尿の勢いが弱い方には、尿流測定などを追加することもあります。

糖尿病の頻尿に対する対処法

糖尿病による頻尿を改善するには、尿の回数だけを減らすのではなく、高血糖や膀胱機能の変化など原因に合った対応が必要です。水分、嗜好品、服用薬も症状へ影響しますが、自己判断で極端に変えると体調を崩すことがあります。検査結果と持病を踏まえ、無理なく続けられる方法を選びましょう。

自己判断での水分制限を避ける

頻尿を減らそうとして水分を極端に控えると、高血糖によって水分を失っている方では脱水が進むおそれがあります。口の渇き、尿の色、発汗量、気温、心臓や腎臓の状態などによって必要な水分量は異なるため、一律の量に合わせる必要はありません。

喉が渇いたときは、水など糖分を含まない飲み物を中心に、こまめに水分を補給しましょう。心不全や腎不全などで水分量を指示されている方は、その指示を優先してください。尿量が急に増えた場合は、水分を減らす前に血糖値や服用薬を確認することが大切です。

血糖管理の見直し

高血糖による浸透圧利尿が原因であれば、血糖値が適切な範囲へ近づくことで、尿量や喉の渇きが軽くなる可能性があります。食事、運動、服用薬、インスリンの使用状況を振り返り、自己判断で治療を中断せず主治医へ相談しましょう。

感染症、食べ過ぎ、運動不足、薬の飲み忘れ、体調不良などによって、一時的に血糖値が上がる場合もあります。血糖自己測定や持続血糖測定を使用している方は、普段との変化を記録して受診時に伝えると、治療内容を検討しやすくなります。

カフェイン・飲酒量の調整

コーヒーや緑茶などを多く飲んだ後に頻尿が目立つ方は、飲む量や時間帯を見直してみましょう。急にすべてやめる必要はなく、夕方以降の摂取を控える、カフェインを含まない飲み物へ置き換えるなど、生活に合わせた調整が現実的です。

アルコールは尿量を増やすだけでなく、血糖管理や睡眠にも影響します。糖分を含む飲料で割ると摂取糖質も増えるため注意してください。飲酒できる量は治療内容や合併症によって異なるので、主治医へ相談することが大切です。

服用薬に関する医師への相談

利尿薬やSGLT2阻害薬を使い始めてから尿量が増えた場合は、症状が現れる時間帯や生活への影響を処方医へ伝えましょう。平常時に自己判断で減量・中止すると、心不全や高血糖などが悪化するおそれがあります。

一方、発熱、嘔吐、下痢、食欲不振などで食事や水分を十分に取れないシックデイには、SGLT2阻害薬の休薬が必要になることがあります。あらかじめ主治医から伝えられている指示に従い、判断に迷う場合は処方元へ連絡してください。吐き気、腹痛、息苦しさ、強い倦怠感があるときは、ケトアシドーシスも考えて速やかに受診しましょう。

頻尿の受診目安と受診先

頻尿が続く場合は、回数だけでなく、喉の渇き、体重変化、排尿時痛、発熱、尿の出にくさなどを確認します。症状が軽くても日常生活や睡眠に支障があるなら、受診をためらう必要はありません。一方、意識の変化や強い脱水を伴う場合は、通常の外来を待たずに対応する必要があります。

早めの受診が必要な症状

頻尿に加えて、強い口渇、多飲、意図しない体重減少、強い倦怠感、目のかすみなどがある場合は、早めに内科で血糖値を調べましょう。健康診断で血糖値やHbA1c、尿糖の異常を指摘されている方も、症状の有無にかかわらず結果票の指示に従ってください。

排尿時痛、血尿、発熱、腰背部痛などを伴う場合は、尿路感染症などを調べる必要があります。とくに糖尿病がある方は重症化することがあるため、早めに受診しましょう。尿が出にくい、強い残尿感がある場合や、頻尿が数日以上続いて生活に影響している場合も医療機関への相談が必要です。

救急受診を検討する症状

強い口渇や多尿に加えて、吐き気・嘔吐、腹痛、息苦しさ、深く速い呼吸、意識がぼんやりするなどの症状がある場合は、糖尿病性ケトアシドーシスなどの急性合併症が疑われます。高浸透圧高血糖状態でも、高度な脱水や意識障害が起こることがあります。

水分を飲めない、立っていられないほどふらつく、呼びかけへの反応が鈍い場合は、夜間や休日でも救急受診を検討してください。とくに1型糖尿病の方は、インスリンを自己判断で中断せず、シックデイの指示に従って速やかに医療機関へ連絡しましょう。

内科・糖尿病内科・泌尿器科の役割

喉の渇き、多飲、体重減少、健診での高血糖などがある場合は、内科または糖尿病内科が主な受診先です。血糖値やHbA1c、腎機能などを調べ、糖尿病の診断と治療の必要性を判断します。

尿意切迫感、尿漏れ、排尿時痛、尿の勢いの低下、残尿感などが目立つ場合は、泌尿器科が適しています。超音波検査や残尿測定などによって、膀胱や前立腺の状態を調べます。受診先に迷うときは、まず通いやすい内科や泌尿器科へ相談し、必要に応じて適切な診療科へつないでもらいましょう。

まとめ | 糖尿病が疑われる頻尿は早めに相談しよう

糖尿病では、高血糖による浸透圧利尿によって尿量が増え、結果として排尿回数が多くなることがあります。また、長期間の高血糖に伴う神経障害で残尿が増え、1回量の少ない頻尿が起こる場合もあります。頻尿は回数、多尿は1日の尿量の増加を表すため、同じものではありません。

強い喉の渇き、多飲、体重減少、倦怠感を伴うときは、早めに血糖値を調べましょう。自己判断で水分や薬を減らさず、検査結果に応じた対応が大切です。吐き気、腹痛、息苦しさ、意識の変化などがある場合は、救急受診を検討してください。

頻尿の背景には、血糖の問題と膀胱や前立腺の問題が重なっていることも少なくありません。市川妙典おがわ泌尿器科・内科は、内科と泌尿器科の両方を診療しているため、血糖値やHbA1cなどの検査と、超音波検査や残尿測定といった排尿の評価を、あわせてご相談いただけます。どちらの診療科を受診すべきか迷っている方も、そのままお越しください。頻尿や夜間頻尿、健診で指摘された血糖値の異常が気になる方は、お気軽にご相談ください。専門的な検査や治療が必要な場合は、適切な医療機関と連携します。

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