健康診断でLDLコレステロールが高いときは?原因や改善方法を解説
「健康診断でコレステロールが高いといわれたけれど、すぐに病院へ行くべき?」「食事を変えれば数値は下がる?」と不安になっていませんか。脂質異常症は自覚症状がほとんどないため、結果票を受け取っても深刻さを実感しにくいものです。しかし、LDLコレステロールの高値などを放置すると動脈硬化が進み、心筋梗塞や脳梗塞につながる可能性があります。
健康診断では、LDLコレステロール、HDLコレステロール、中性脂肪などを確認します。それぞれ意味が異なり、1つの数値だけで治療の必要性が決まるわけではありません。年齢、高血圧や糖尿病の有無、喫煙習慣、家族歴なども含めて考えることが大切です。
この記事では、健康診断でコレステロールが高いときの数値の見方、放置するリスク、考えられる原因、生活習慣の改善方法、受診・再検査の目安を解説します。結果票をどのように受け止めればよいか迷っている方は、参考にしてください。
健康診断でコレステロールが高いときの見方

健康診断の結果票には、血液中の脂質に関する複数の項目が並んでいます。数値が高いものだけを見るのではなく、LDL・HDLコレステロールと中性脂肪がそれぞれ何を示すのかを分けて考えることが大切です。採血条件によって見方が変わる項目もあるため、各項目の役割と基準、治療目標との違いを確認しましょう。
LDL・HDL・中性脂肪の違い
LDLコレステロールは、肝臓でつくられたコレステロールを全身へ運ぶ役割があります。増えすぎると血管壁にたまりやすくなるため、一般に「悪玉コレステロール」と呼ばれます。HDLコレステロールは、余分なコレステロールを回収して肝臓へ戻す働きがあり、低値が問題になります。
中性脂肪は、体を動かすためのエネルギー源として使われる脂質です。食事や飲酒の影響を受けやすく、余った分は体脂肪として蓄えられます。総コレステロールが高くてもHDLが高い場合があるため、総コレステロールだけで判断せず、各項目を個別に見ることが重要です。
脂質異常症を疑う基準値
日本動脈硬化学会の動脈硬化性疾患予防ガイドライン2022年版では、成人の脂質異常症を疑う主な基準を次のように示しています。中性脂肪は、採血時に空腹だったかどうかで基準が異なるため、結果票の採血条件も確認してください。
項目 | 脂質異常症を疑う基準 |
LDLコレステロール | 140 mg/dL以上 |
HDLコレステロール | 40 mg/dL未満 |
中性脂肪 | 空腹時150 mg/dL以上、随時175 mg/dL以上 |
non-HDLコレステロール | 170 mg/dL以上 |
LDLコレステロール120〜139 mg/dL、non-HDLコレステロール150〜169 mg/dLは境界域です。基準を超えた数値が1回出ただけで治療内容が決まるわけではなく、再検査やほかの危険因子の評価が必要になります。
健診の基準値と治療目標値の違い
健康診断の基準値は、脂質異常症の可能性がある人を見つけるための目安です。一方、治療目標値は、将来どの程度動脈硬化性疾患を起こしやすいかを踏まえて個別に設定されます。
同じLDLコレステロール値でも、心筋梗塞や狭心症の既往、糖尿病、慢性腎臓病、高血圧、喫煙などがある方は、より厳しい管理が必要になる場合があります。反対に、危険因子が少ない方では、まず生活習慣を見直して経過を見ることもあります。健診結果の判定だけで自己判断せず、自分に合った目標を医師と相談することが大切です。
コレステロールが高い状態を放置するリスク
脂質の数値に異常があっても、すぐに痛みや体調不良が現れるとは限りません。そのため、再検査を後回しにしてしまう方もいます。しかし、LDLコレステロールの高い状態が長く続くほど、血管への負担が積み重なります。健康診断の異常を放置しないためにも、動脈硬化が進む仕組みと、発症し得る病気を見ていきましょう。
自覚症状なく進む動脈硬化
血液中のLDLコレステロールが多い状態が続くと、コレステロールが血管壁へ入り込み、炎症を伴うプラークがつくられます。プラークが大きくなると血管が狭くなり、血液が流れにくくなります。こうした変化が動脈硬化です。
動脈硬化はゆっくり進むことが多く、初期には自覚症状がほとんどありません。健康診断で数値を指摘された時点は、症状がないうちに対策を始められる機会ともいえます。体調がよいから大丈夫と判断せず、過去の結果と比べて変化を見ることも大切です。
心筋梗塞・脳梗塞などの発症リスク
動脈硬化が進み、血管内のプラークが破れたり血栓ができたりすると、心臓や脳へ血液を送る血管が詰まることがあります。心臓の血管で起これば狭心症や心筋梗塞、脳の血管で起これば脳梗塞につながります。
発症リスクはコレステロール値だけで一律に決まるものではなく、複数の危険因子が重なるほど高くなります。すでに狭心症や脳梗塞などを経験した方では、再発予防のためにより厳格な管理が必要です。胸の強い痛みや圧迫感、突然の手足のまひ、顔のゆがみ、ろれつが回らないといった症状がある場合は、健康診断の再検査を待たず、直ちに119番へ通報してください。
動脈硬化のサインとなる身体の変化
動脈硬化は全身の血管で進むため、心臓や脳の症状が現れる前に、ほかの部位の変化として気づかれることがあります。たとえば、歩いているとふくらはぎなどが痛くなり、休むと軽くなる症状は、足の血管が狭くなっている可能性を示す変化の1つです。
男性では、勃起障害(ED)が手がかりになる場合があります。ED診療ガイドラインでは、EDが心血管疾患と関連するだけでなく、心血管疾患の予測因子でもあるとされています。陰茎の動脈は直径1〜2mm程度と細く、心臓の冠動脈(3〜4mm程度)や頸動脈(5〜6mm程度)より先に動脈硬化の影響が現れやすいと考えられているためです。
ただし、EDの原因は動脈硬化だけではなく、神経の病気、ホルモン、薬、心理的な要因などさまざまです。同ガイドラインでは、EDの危険因子として肥満、運動不足、喫煙などが挙げられており、脂質異常症そのものは危険因子から除かれています。コレステロールが高いから必ずEDになるというわけではありません。反対に、EDの症状がある方では、背景に動脈硬化が隠れている可能性を考え、脂質・血圧・血糖などをあわせて確認しておくと安心です。
コレステロールが高くなる主な原因

コレステロールの異常は、食事だけが原因とは限りません。体重や運動習慣、年齢による体の変化、遺伝、ほかの病気、服用中の薬などが関係する場合があります。複数の要因が重なっていることも少なくありません。原因を決めつけて極端な食事制限を始めるのではなく、生活背景や過去の結果も振り返りながら考えましょう。
食生活・肥満・運動不足
飽和脂肪酸や摂取エネルギーが多い食生活は、LDLコレステロールや中性脂肪へ影響します。また、摂取エネルギーが消費量を上回る状態が続き、体重や内臓脂肪が増えると、HDLコレステロールを含む脂質全体のバランスが崩れやすくなります。
運動不足も脂質代謝へ影響しますが、やせている方や食事に気をつけている方でも、遺伝や病気によってLDLコレステロールが高くなる場合があります。生活習慣だけを原因と決めつけず、過去の結果や家族歴も含めて考えることが大切です。
加齢・閉経による変化
年齢を重ねると筋肉量や活動量が減りやすく、体重が変わっていなくても脂質の値が変化することがあります。若い頃と同じ食事量を続けていると、消費しきれないエネルギーが体脂肪として蓄積されやすくなるためです。
女性では、閉経に伴うホルモン環境の変化によって、LDLコレステロールが上昇しやすくなります。これまで健康診断で問題がなかった方も、更年期以降に初めて高値を指摘されることがあります。加齢だけの影響と決めつけず、血圧や血糖値を含めて定期的に経過を見ましょう。
遺伝・家族性高コレステロール血症
家族性高コレステロール血症は、血液中のLDLコレステロールを処理する仕組みに関わる遺伝子の異常により、若い頃からLDLコレステロールが高くなる病気です。生活習慣に大きな問題がなくても高値が続き、早い年代から動脈硬化が進む可能性があります。
成人の診断では、①未治療時のLDLコレステロール180 mg/dL以上、②腱黄色腫(アキレス腱の肥厚など)または皮膚結節性黄色腫、③家族性高コレステロール血症または早発性冠動脈疾患の家族歴、という3つの項目のうち2つ以上が当てはまるかを確認します。ここでいう早発性冠動脈疾患とは、男性は55歳未満、女性は65歳未満で発症した狭心症や心筋梗塞などを指し、家族歴の範囲は親・子・きょうだいにあたる第一度近親者です。
LDLコレステロールの数値だけで確定するものではありませんが、若い年代から高値が続いている、親やきょうだいにも高コレステロール血症の方がいる、家族が上記の年齢より若くして心筋梗塞や狭心症を発症している、アキレス腱の肥厚を指摘されたといった場合は、早めに相談してください。
病気・服用薬による影響
甲状腺機能低下症、糖尿病、慢性腎臓病、ネフローゼ症候群、肝胆道系の病気などが、脂質異常の背景に隠れていることがあります。原因となる病気を治療することで、コレステロールや中性脂肪が改善するケースもあります。
副腎皮質ステロイド薬をはじめ、一部の薬も脂質へ影響します。服用中の薬が原因と思われても、自己判断で減量・中止せず、受診時に医師へ伝えてください。処方薬だけでなく、市販薬やサプリメントもまとめて伝えると、原因を検討する際の手がかりになります。
コレステロール値を改善する生活習慣
生活習慣の改善では、脂質をすべて避けるのではなく、食事の量と脂質の種類を見直すことが重要です。さらに、無理なく続けられる運動、適正体重の維持、飲酒量の調整、禁煙を組み合わせることで、血圧や血糖値の管理にもつながります。短期間だけ無理をするより、日常生活へ定着させることが大切です。取り組みやすい方法から始めましょう。
飽和脂肪酸を控える食事
LDLコレステロールが高い方は、肉の脂身、鶏皮、バター、生クリーム、ラード、脂肪の多い加工肉、洋菓子などに偏っていないか確認しましょう。こうした食品に多く含まれる飽和脂肪酸をとりすぎると、LDLコレステロールが上がりやすくなります。
肉を食べる場合は脂身の少ない部位を選び、揚げるよりも蒸す、焼く、ゆでる調理法を取り入れます。外食では、衣や脂身を残すだけでも摂取量を抑えやすくなります。すべてを禁止すると続きにくいため、量や回数を少しずつ見直しましょう。卵や内臓類など、コレステロールを多く含む食品の過剰摂取にも注意が必要です。
魚・大豆・食物繊維の摂取
肉料理が多い方は、主菜の一部を魚や大豆製品へ置き換えると、飽和脂肪酸の摂取を減らしやすくなります。青魚にはn-3系多価不飽和脂肪酸が含まれ、大豆製品は植物性たんぱく質を補える食品です。
特に、麦類、豆類、野菜、海藻などに含まれる水溶性食物繊維は、胆汁酸やコレステロールの排出を助ける働きがあります。白米の一部を麦へ替える、毎食に野菜料理を1品加えるといった工夫なら続けやすいでしょう。特定の食品だけで数値を下げようとせず、主食・主菜・副菜をそろえることが基本です。
適正体重を目指す運動習慣
運動は中性脂肪を下げ、HDLコレステロールを増やす方向に働くとされています。ウォーキングや自転車、水泳などの有酸素運動を中心に、1日合計30分以上をできるだけ毎日、少なくとも週3日続けることが目安です。短時間に分けて合計しても構いません。
運動習慣がない方は、通勤や買い物で歩く時間を増やす、階段を使うなど、日常生活の活動量から見直しましょう。体重を減らす必要がある場合も、食事だけに頼らず運動を組み合わせると筋肉量を保ちやすくなります。心臓病、関節の病気、強い息切れなどがある方は、運動を始める前に医師へ相談してください。
飲酒量の見直し・禁煙によるリスク管理
飲酒によって中性脂肪が上がる方がいるため、健康診断で中性脂肪を指摘された場合は、飲む量や頻度を振り返りましょう。お酒と一緒に高エネルギーのおつまみをとる習慣も、体重増加につながります。休肝日を設けるなど、続けられる方法で量を減らしてください。
禁煙はLDLコレステロールを直接下げる方法とは限りませんが、動脈硬化性疾患のリスクを下げるうえで重要です。喫煙は血管へ負担をかけ、ほかの危険因子と重なると心筋梗塞や脳梗塞のリスクが高まります。自力での禁煙が難しい場合は、禁煙外来などの支援を利用しましょう。
健康診断後の受診目安と治療

健康診断で脂質の異常を指摘されたら、判定区分や数値、ほかの検査結果を確認しましょう。数値が軽度でも危険因子が重なっている場合があり、反対に、再検査で一時的な変動と分かることもあります。過去の結果票も判断材料になります。受診先、検査内容、治療方針を知っておくと、結果を放置せず行動しやすくなります。
受診先と早めに相談したいケース
最初の相談先は、一般内科や循環器内科、糖尿病・代謝内科などです。かかりつけ医がいる場合は、健康診断の結果票と過去の検査結果を持参すると、数値の変化や全身のリスクを判断しやすくなります。
要受診・要精密検査と記載されている場合は、症状がなくても受診してください。LDLコレステロールが著しく高い方、若い年代から高値が続く方、家族に若くして心筋梗塞を発症した人がいる方も早めの相談が必要です。すでに動脈硬化性疾患がある方や危険因子が重なる方も、軽度の異常だからと放置しないようにしましょう。
再検査で行う主な検査
再検査では、LDL・HDLコレステロール、中性脂肪、non-HDLコレステロールなどを再度測定します。中性脂肪は食事の影響を受けやすいため、医療機関から絶食を指示された場合は、その内容に従って採血を受けてください。
原因や合併症を調べるため、血糖値・HbA1c、肝機能、腎機能、甲状腺機能などを確認する場合があります。問診では、食事、運動、飲酒、喫煙、体重変化、服用薬、家族歴を伝えます。必要に応じて頸動脈エコーなどで動脈硬化の状態を調べることもありますが、全員に同じ検査を行うわけではありません。
リスクに応じた治療方針・薬物療法
治療の目的は、数値を下げること自体ではなく、将来の心筋梗塞や脳梗塞などを予防することです。危険因子が少なく数値の上昇が軽い場合は、食事や運動を見直しながら経過を確認することがあります。
LDLコレステロールが高い状態が続く方や、動脈硬化性疾患のリスクが高い方では、生活改善とあわせて薬物療法を検討します。薬の種類や開始時期は、数値、年齢、持病、ほかの薬との組み合わせなどを踏まえて決まります。治療開始後は定期的に血液検査を受け、効果や副作用を確認しながら続けましょう。数値が下がっても自己判断で薬を中止しないことが大切です。
まとめ | コレステロールが高ければ数値とリスクを見直そう
健康診断でコレステロールが高いと指摘されたら、総コレステロールだけでなく、LDL・HDLコレステロール、中性脂肪、non-HDLコレステロールを分けて確認しましょう。健診の基準値は脂質異常症を見つける目安であり、治療目標や薬の必要性は、年齢、既往歴、持病、喫煙、家族歴などを踏まえて判断します。
LDLコレステロールの高い状態を放置すると、自覚症状のないまま動脈硬化が進む可能性があります。食事では飽和脂肪酸を控え、魚、大豆、水溶性食物繊維を取り入れましょう。運動、適正体重、節酒、禁煙も大切です。
健康診断の結果の見方や生活習慣の改善方法に迷っている方は、市川妙典おがわ泌尿器科・内科へご相談ください。当院では脂質の数値だけでなく、血圧や血糖値、持病なども踏まえ、一人ひとりに合った対応を一緒に考えていきます。また、動脈硬化は全身の血管で進むため、男性では勃起障害など、泌尿器科で扱う症状が気づくきっかけになることもあります。当院は内科と泌尿器科の両方を診療しているため、生活習慣病の管理と、相談しにくい症状の両方をまとめてご相談いただけます。
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