男性の残尿感が続く原因は?考えられる病気や受診の目安を解説
「トイレを済ませたのに尿が残っている感じがする」「排尿後すぐに、もう一度トイレへ行きたくなる」と悩んでいませんか。男性の残尿感は、前立腺肥大症などによって実際に膀胱へ尿が残っている場合と、前立腺炎や尿路の炎症などによって、尿がほとんど残っていないのに感じる場合があります。
尿の勢いが弱い、排尿に時間がかかる、頻尿や排尿時痛を伴うときは、前立腺や膀胱、尿道の病気が関係している可能性があります。特に、尿がまったく出ない場合や、発熱・血尿・強い痛みがある場合は、早めの受診が必要です。
この記事では、男性の残尿感が続く原因や考えられる病気、医療機関で行う検査、治療方法、受診の目安を解説します。残尿感を年齢のせいと決めつけず、適切な対処につなげるための参考にしてください。
男性の残尿感は実際の残尿とは限らない

残尿感は、排尿後も膀胱に尿が残っているように感じる症状です。しかし、自覚する強さと実際の残尿量が一致するとは限りません。尿が本当に残っている場合と、ほとんど残っていなくても違和感が続く場合があるため、感覚だけで原因を判断するのは困難です。
排尿に関する症状は、一般に次のように分類されます。残尿感は、このうち排尿後症状に含まれます。
分類 | 主な症状 |
畜尿症状 | 頻尿・夜間頻尿・急に強い尿意が起こる・尿漏れ |
排尿症状 | 尿の勢いが弱い・排尿までに時間がかかる・尿が途中で途切れる |
排尿後症状 | 残尿感・排尿後の尿滴下 |
どの症状が中心なのかによって、考えられる原因や必要な検査は変わります。まずは、残尿感と残尿量の違いから見ていきましょう。
残尿感と残尿量の違い
残尿感は本人が感じる自覚症状であり、残尿量は排尿後に膀胱内へ残った尿を検査で測った値です。強い残尿感があっても実際の残尿量が少ない方がいる一方、尿が多く残っていても自覚症状に乏しい方もいます。
実際に尿が残る背景には、尿の通り道が狭くなっている状態や、膀胱が十分に収縮できない状態があります。反対に、尿がほとんど残っていなくても、前立腺や尿道、膀胱の炎症などによって排尿後の違和感が続くことがあります。
自覚症状だけでは難しい判別
残尿感の程度や尿の勢いだけで、前立腺肥大症、炎症、膀胱機能の低下などを見分けることはできません。頻尿や夜間頻尿、排尿時痛、血尿など、残尿感以外の症状も重要な判断材料になります。
また、排尿を終えた直後に尿がにじみ出る排尿後尿滴下は、残尿感と混同されやすい症状です。下着が濡れる、歩き始めてから尿が漏れるといった場合は、その状況も医師へ伝えると判断の助けになります。
症状が軽くても尿が多く残っている場合があるため、残尿感が続くときは医療機関で状態を調べることが大切です。多量の残尿が長く続くと、尿路感染症を繰り返したり、膀胱や腎臓へ負担がかかったりする可能性もあります。
男性の残尿感で考えられる原因
男性の残尿感には、前立腺や尿道が尿の流れを妨げる病気、膀胱を動かす神経や筋肉の異常、尿路の炎症などが関係します。服用中の薬や便秘が排尿へ影響しているケースも少なくありません。原因によって必要な治療が異なるため、症状の経過や伴う変化を整理して受診することが大切です。
前立腺肥大症
前立腺肥大症は、膀胱の出口で尿道を囲む前立腺が大きくなり、尿の通り道が圧迫される病気です。中高年の男性に多く、尿の勢いが弱い、排尿を始めるまでに時間がかかる、尿が途中で途切れる、排尿後にすっきりしないといった症状が現れます。
前立腺の大きさと症状の強さは必ずしも一致しません。徐々に進行することが多く、本人が尿の勢いの変化に慣れてしまう場合もあります。症状が進むと残尿が増え、尿路感染症や尿閉などにつながることもあるため、残尿量や尿の流れを調べて状態を評価します。
なお、前立腺がんは初期には症状が乏しいことが多いとされますが、進行して尿道が圧迫されると、前立腺肥大症と似た排尿の症状がみられることがあります。症状だけで区別することはできないため、検査によって状態を確かめることが大切です。
過活動膀胱
過活動膀胱は、突然強い尿意が起こって我慢しにくくなる状態で、頻尿や夜間頻尿を伴い、間に合わずに尿が漏れることもあります。男性では、前立腺肥大症に合併してみられることが少なくないとされています。
過活動膀胱そのものは尿をためる働きの問題ですが、排尿が近い、すっきりしないといった感覚から、残尿感として自覚されることもあります。前立腺肥大症を伴っているかどうかで治療の進め方が変わるため、残尿量や尿の流れとあわせて評価します。
慢性前立腺炎・尿道炎
慢性前立腺炎では、会陰部や下腹部の違和感、頻尿、残尿感などが続くことがあります。細菌感染が確認されるタイプだけでなく、感染が明らかではない慢性骨盤痛症候群もあり、症状が良くなったり悪くなったりしながら経過する点が特徴です。
一方、排尿時痛や尿道のかゆみ、分泌物がある場合は尿道炎も考えられます。淋菌やクラミジアなどの性感染症が原因となることもあるため、性的接触の状況を踏まえて必要な検査を行います。
膀胱炎・膀胱結石
膀胱に炎症が起こると、尿がほとんど残っていなくても、排尿後の違和感や残尿感が続くことがあります。頻尿、排尿時痛、尿の濁り、血尿などを伴う場合は膀胱炎が疑われます。男性では、前立腺の病気や尿路の通過障害が背景にないかも調べることが大切です。
膀胱結石は、膀胱内の石が粘膜を刺激したり、膀胱の出口付近で尿の流れを妨げたりする病気です。排尿中に尿が途切れる、尿が出にくい、下腹部痛や血尿を伴うといった症状がみられる場合があります。
尿道狭窄
尿道狭窄は、外傷や尿道への処置、感染・炎症などをきっかけに、尿道の一部が狭くなる状態です。尿の通り道が細くなるため、尿線が細い、勢いが弱い、排尿に時間がかかる、尿が飛び散るといった症状が現れ、残尿が増える場合があります。
前立腺肥大症と似た症状がみられますが、原因や治療方法は異なります。過去に骨盤や会陰部をけがしたことがある方、尿道カテーテルや内視鏡による処置を受けた方、尿道炎を繰り返した方は、受診時に医師へ伝えましょう。
糖尿病などによる神経因性膀胱
神経因性膀胱は、膀胱や尿道の働きを調整する神経に障害が生じ、尿をためる機能や排出する機能に問題が起こる状態です。糖尿病による神経障害、脳や脊髄の病気、骨盤内の手術などが原因になることがあります。
膀胱の感覚が鈍くなると尿意を感じにくくなり、十分に収縮できない場合は多量の残尿が生じます。本人が残尿を強く自覚しないこともあるため、糖尿病がある方で、尿意を感じにくくなった、排尿間隔が以前より長くなった、尿の勢いが低下したといった変化がある場合は相談しましょう。
薬剤・便秘による排尿障害
一部の抗ヒスタミン薬や鼻づまりの薬、抗コリン作用のある薬、抗うつ薬などは、膀胱の収縮や尿道の開き方に影響し、尿を出しにくくする場合があります。前立腺肥大症がある方では、市販の風邪薬や鼻炎薬を服用したあとに症状が悪化することもあります。
また、過活動膀胱の治療に使われる抗コリン薬では、副作用として尿の勢いの低下や残尿量の増加、尿閉が起こることがあるとされています。すでに頻尿や尿意切迫感の治療を受けている方で、薬を始めてから尿が出にくくなった、残尿感が強くなったと感じる場合は、処方した医師へ相談しましょう。
便秘で直腸に便がたまると、膀胱や尿道周辺が圧迫され、排尿しにくさにつながる可能性もあります。服用薬を自己判断で中止せず、処方薬や市販薬、サプリメントを含めて医師や薬剤師へ伝えてください。
男性の残尿感で行う検査

残尿感の原因を調べる際は、自覚症状だけでなく、尿の状態、排尿後に残った尿量、尿の流れ、前立腺や膀胱の状態を組み合わせて評価します。すべての検査を一度に行うわけではなく、年齢や症状、既往歴を踏まえて必要なものを選びます。受診時には、過去の健診結果や服用薬がわかるものを持参すると役立ちます。
問診・排尿日誌・前立腺の診察
問診では、残尿感が始まった時期、尿の勢い、排尿回数、夜間に起きる回数、排尿時痛や血尿の有無などを確認します。国際前立腺症状スコアや過活動膀胱症状スコアなどの質問票を使い、症状が日常生活へ与える影響を評価することもあります。
排尿日誌には、排尿した時刻や尿量、水分摂取量などを数日間記録します。頻尿や夜間頻尿を伴う場合に役立つ方法です。前立腺肥大症などが疑われるときは、直腸から前立腺の大きさや硬さ、圧痛を診察する場合があります。
尿検査・血液検査
尿検査では、尿中の白血球、赤血球、細菌、尿糖などを調べます。膀胱炎や尿道炎、血尿、糖尿病の可能性を探るための基本的な検査です。感染が疑われるときは尿培養検査、性感染症が考えられるときは病原体に応じた検査を追加します。
血液検査では、クレアチニンやeGFRなどから腎機能を調べることがあります。多量の残尿や尿路の閉塞が続くと、腎機能へ影響する可能性があるためです。年齢や症状に応じてPSAを測定する場合もありますが、前立腺肥大症や前立腺炎でも上昇するため、数値だけで前立腺がんを診断することはできません。
残尿測定・超音波検査
残尿測定では、排尿後に膀胱内へ残っている尿の量を、主に超音波検査で測ります。体の外から調べられるため身体への負担が少なく、実際に残尿があるかを確かめるうえで重要な検査です。測定値は、排尿した量や測定までの時間、その日の体調によって変動します。
超音波検査では、残尿量に加えて膀胱や前立腺の状態、結石、腎臓や尿路の拡張などを確認します。残尿は尿路の通過障害だけでなく、膀胱の収縮力低下でも生じるため、ほかの検査結果と併せた判断が必要です。
尿流測定・尿道内視鏡検査
尿流測定は、専用の機器へ排尿し、尿の勢い、排尿量、排尿にかかった時間などを測る検査です。前立腺肥大症や尿道狭窄などによる通過障害が疑われる場合に役立ちます。ただし、結果は膀胱にたまっていた尿量や測定時の緊張などの影響も受けます。
尿道狭窄や膀胱内の病変が疑われる場合は、尿道から細い内視鏡を入れ、尿道や膀胱を観察することがあります。必要に応じて膀胱内の圧力や収縮力を調べる検査などを追加し、排尿機能を詳しく評価します。
男性の残尿感に対する治療と対処
男性の残尿感に対する治療は、実際の残尿量と原因となる病気によって異なります。尿を出し切ろうと強くいきむだけでは改善せず、排尿しにくさを悪化させるおそれもあります。医療機関で原因を調べたうえで治療を受けることが基本です。生活上の工夫は、治療の代わりではなく、症状を悪化させないための補助として取り入れましょう。
原因に応じた薬物療法・処置
前立腺肥大症では、前立腺や膀胱出口の緊張を緩める薬、前立腺を小さくする薬などを、症状や前立腺の状態に応じて使用します。薬で十分に改善しない場合や、尿閉を繰り返す場合は、手術などを検討することがあります。過活動膀胱を合併している場合は、残尿量を確認しながら、尿意切迫感を抑える薬を組み合わせることもあります。
細菌感染が確認された場合や強く疑われる場合は、原因に応じて抗菌薬を使用します。尿道狭窄では内視鏡による処置や手術、多量の残尿や尿閉がある場合はカテーテルによる排尿が必要です。神経因性膀胱では、膀胱の状態や残尿量に応じて、排尿時間を決める方法や間欠自己導尿などを組み合わせて尿路を管理します。
排尿習慣・水分摂取の見直し
排尿を長時間我慢せず、落ち着いて力まずに尿を出すことが大切です。排尿後に少し待ち、もう一度排尿を試みる二段排尿が役立つ場合もあります。ただし、毎回強くいきんだり、医師の指示なく下腹部を強く押したりするのは避けてください。
水分を極端に減らすと尿が濃くなり、脱水や便秘を招くおそれがあります。反対に、短時間で大量に飲むと頻尿が強くなることもあるため、水分は適量を分けてとりましょう。飲酒やカフェインで症状が強くなる方は量や時間帯を見直し、便秘がある場合は食事や運動、必要な治療で改善を図ります。
男性の残尿感の受診目安と受診先

残尿感があっても、すべてが緊急の病気とは限りません。ただし、尿がまったく出ない、発熱や強い痛みを伴うといった場合は、速やかな対応が必要です。症状が軽くても長く続く場合や、徐々に悪化している場合は放置せず相談しましょう。緊急性を判断する目安と、適切な受診先を解説します。
尿がまったく出ない場合
強い尿意があるのに尿がまったく出ず、下腹部が張って痛む場合は、急性尿閉の可能性があります。膀胱内へ尿がたまり続けている状態であり、カテーテルなどを使って尿を排出する処置が必要になるため、速やかに医療機関を受診してください。
前立腺肥大症がある方では、服用した薬などをきっかけに急に排尿できなくなることもあります。夜間や休日であっても、尿が出ない状態を我慢せず、救急外来を含めて相談しましょう。
発熱・血尿・強い痛みを伴う場合
残尿感に加えて発熱や悪寒、強い排尿時痛、下腹部・会陰部・背中の痛みがある場合は、前立腺炎や尿路感染症、結石などが疑われます。特に高熱や全身のだるさ、吐き気を伴う場合は、感染が重症化している可能性があるため、早めの診療が必要です。
目で見てわかる血尿や血のかたまりが出た場合も、原因を調べる必要があります。症状が一度治まっても自己判断で放置せず、いつからどのような変化があったかを医師へ伝えてください。
残尿感が続く・悪化する場合
残尿感が続く、繰り返す、尿の勢いが徐々に弱くなる、夜間に何度も起きるといった場合は、泌尿器科へ相談しましょう。日常生活に支障があるときや、以前より排尿に時間がかかるようになったときも受診の目安です。
慢性的な尿の出にくさは少しずつ進むため、本人が変化に気づきにくいことがあります。症状が軽くても多量の残尿が隠れている可能性があるため、年齢のせいと決めつけず、検査で状態を確かめることが大切です。
泌尿器科が主な受診先
男性の残尿感は、前立腺、膀胱、尿道などの病気が関係するため、泌尿器科が主な受診先です。尿検査、残尿測定、超音波検査、尿流測定などを組み合わせ、実際に尿が残っているか、原因となる部位や排尿機能の状態を調べます。
糖尿病の治療中であっても、排尿症状がある場合は泌尿器科へ相談して問題ありません。神経疾患や服用薬の影響が考えられる場合は、内科や脳神経内科、薬を処方した医師と連携しながら治療方針を検討します。
まとめ | 男性の残尿感が続くときは泌尿器科へ
男性の残尿感は、実際に膀胱へ尿が残っている場合と、炎症などによって尿が残っているように感じる場合があります。前立腺肥大症、過活動膀胱、慢性前立腺炎、膀胱炎、尿道狭窄、神経因性膀胱など原因はさまざまで、自覚症状だけで判断することはできません。残尿測定や尿流測定などを受け、原因に合った治療へつなげることが大切です。
尿がまったく出ない、下腹部が張って痛む、発熱・血尿・強い痛みがある場合は、速やかに医療機関を受診してください。残尿感が続く場合や、尿の勢いが弱くなっている場合も、年齢のせいと放置せず泌尿器科へ相談しましょう。
男性の残尿感や尿の出にくさでお悩みの方は、市川妙典おがわ泌尿器科・内科へご相談ください。排尿の悩みには、前立腺肥大症や過活動膀胱だけでなく、高血圧や糖尿病といった生活習慣病、睡眠の問題、足のむくみ、服用中の薬などが関係していることもあります。当院は泌尿器科と内科を診療しているため、こうした背景も含めて確認しながら、必要な検査や治療をご提案できます。より専門的な対応が必要な場合は、適切な医療機関と連携しますので、お気軽にご相談ください。
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